刀法併用手裏剣術の為の第一歩、「吊るし木撃ち」



「日下流正法・吊るし木」を公開します。




初体験で太竹を斬って見ました。Click hear

吊るし木撃ちの効果は、動画を見れば一目瞭然です。

由緒ある居合術の師範でも、動画にある様な太い竹となると、そう簡単には切れぬものです。

試斬未経験者のOG氏は、吊るし木撃ち七ヶ月の経験で見事に両断して居ります。



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「先ず、吊るし木撃ちを充分にやってから剣術の良師を探しなさい!」後藤翁が別れ際の諭しでした。しかし、今日

に到るも、私に良師の縁はありませんでした。しかし、吊るし木撃ちで身に付けた足捌きと、手首でしてのける斬り

の手の内が、実際上、平野傳投剣術の土台になっていることは確かな様です。



吊るし木撃ち稽古は、動体視力の鍛錬と打撃力の強化、そして敏速なるフットワークおよび持久力を養成し、高速

で動く物体を瞬時に補足して、間髪を置かず正確無比な攻撃を加え得ることをその目的とするものである。


※吊るし木各部の名称 → 上部丸太=緩衝棒 下部丸太=本体棒

打撃時には、緩衝棒7kg+本体棒15kg=22kgが、強烈な反動となって木刀の物打ちに集中します。

全く経験の無い者が、本体棒に木刀を撃ち込んだ場合、木刀は空しく弾き返され、手はジーンと痺れ、その上に激痛まで伴うという体験をする

こととなります。つまり、打撃力が貧弱なために反動が直接手元に返ってくることがその原因です。しかし、そうした事も数日間撃ち続けていれ

ば身体が対応してきて、自然に打ち抜ける木刀捌きが出来る様になって来ます。左右袈裟・突き・摺り上げ面・峰返し・払い・鍔当て・蹴り等々、

何でも出来ます。また、槍術や薙刀術の稽古に最適です。

補足:皮膚や肉は押したり引いたりして切るものですが、カルシウム結合体である骨は叩いて断ち割るものです


注意 ! !

「日下流正法・吊るし木」は、実用新案保護の適用下にありますので、営利目的の製作は出来ません。




日下流正法・吊るし木撃ち


                     2008.01.20(日)

全画面表示 Click hear


OG氏が「吊るし木撃ち」を始めてから、ちょうど一ヶ月になります。襷袈裟二十連打を放っている時のタップダンサー

の様な足捌きから、全体の動きを良く観察して視て下さい。十秒で二十連打していますが、私が現役当時は三十連

打以上撃っていたと思います。おそらくは四十連打辺りまでが、人間のなせる限界ではないかと思っています。それ

以上は手打ちとなってしまう為、衝撃をコントロールすることが極めて困難となりますから、そうした行為は手首を損

傷する危険性があります。従って手打ちは厳禁です。


蹴り足は、空手の前蹴りとは違います。

                   2007.12.29(土)


一本丸太の吊るし木と比較した場合、日下流正法吊るし木の応答性は格段に速く、その上、本体棒は直立した姿勢

を維持しようとする慣性の元に移動するので、人間を相手に撃ち込むのと同様な攻撃を加えることが出来ます。

緩衝棒の適度な重量と長さが、本体棒に加えられた衝撃を程よく受け応えしてくれますから、撃ち手の技量上達に伴

って、撃ち込みが強くなればなるほど、緩衝棒によるキックバック効果(梃子の作用)によって、本体棒の動きは更に

激しい変化へと加速される事となります。

こうした事は、ボクシングのトレーナーが、研修生の技術習熟度に合わせてコーチングミットの動きを速めて行くことと

共通したものがあります。




熟練者が使用する丸太のサイズです。(総重量・約50kg以上)

楢の木です。

                   2008.01.09(水)




    「日下流正法・吊るし木」突きの稽古動画 Click hear


   動画の解説。


    「日下流正法・吊るし木」を用いた突きの稽古です。先ずは、正眼の構えで切っ先間合いは吊るし木から一尺

    で始めます。習熟度に合わせて一尺ずつ間合いを空け、最終的には切っ先間合い一間から突きを放てるよう

    にする稽古法です。この稽古が結実するならならば、滑る様な体捌きで以って神速の攻撃を仕掛けることが可

    能となることでしょう。この踏み込み足こそ、平野傅投剣術の眼に見えぬ根源となっているのです。  そして、

    根岸流宗家、(故)前田勇師範のあの打法も、こうした踏み込み足が極限まで集約された形の証しなのです。

    ∴実戦間合いを摺り込む手法として、短い木刀を使用しています。



    吊るし木撃ちを三年続けるならば、真剣を竹刀の速さで遣う事が出来る様になるばかりでなく、その上、あらゆる角度

    から絶え間の無い攻撃を雨霰の如く見舞うことが可能になります。本人の努力次第では、息を吐き続けながら一分間

    二百回近くの斬撃も出来ないことではありません。人間業では防御困難な連続攻撃能力の自得、・・・単純極まりない

    理屈ではあるが、やることは、一撃必殺の刀勢で以って雨霰と斬り立てること、・・・・・肝心なことは、何があっても後ろ

    には引き下がらない、決して敵に背中を見せないと言う覚悟である。


    吊るし木は、撃ち込みが強力になるに伴って、人間の動きを超越した速度で予測も付かぬ方向に激しく飛び跳ねるの

    で、ブチ当たって来る吊るし木を木刀で受け止めたり、或いは弾き返す等して、攻撃・防御ともに、願っても無い稽古相

    手役として十分な働きをしてくれること間違い無しです。


    ∴不規則に揺れ動く小豆粒大の物を、・・・・・過たずに撃てぬ様では到底一流の剣客とは申せません。髪の毛ほどの

      間隙を狙って過たずに刃を入れる。 それこそ、一流と評される剣客にのみ許された業の冴えなのです。私は、枝

      垂れ柳の細枝を、見事、二つに斬り裂いた妙技を実際に目撃しましたが、現代剣術家で其れを出来る者が果たし

      て居るものだろうか・・・・・?

      個人的な興味もあって、それは私の知りたい処ではあります。




一本丸太吊るし木に関して、

動画をご覧になってお分かりの様に、一本丸太の振幅はゆったりとして大きく、日下流吊るし木の様に、激しくて変化に富んだ動きをすること

は望むべくもありません。しかし、其れは兎も角として、一本丸太吊るし木はそれなりの成果をもたらす物であったことに間違い無いでしょう。


私が中・高生の当時、学校をサボってまで溝口派一刀流・赤羽(アカバ)氏の稽古場へ見学に行ったものです。そこに在ったのがこうした吊る

し丸太でした。木の材質は何か分かりませんでしたが、太さが一尺ほどあろうかと思われ、長さは一間に近いものであったと記憶しています。


一本丸太・吊るし木撃ち動画  Click hear



動画にある「一本丸太吊るし木」は、私が子供の頃にまだあったもので、その由来と言うものは、気の遠くなるほど古い

時代から伝えられて来た子供の遊びで、「泥棒巡査」と「鬼ごっこ」に「チャンバラ」をミックスした「将軍ごっこ」の

アイテムでした。将軍とは、征夷大将軍坂上田村麻呂のことで、「将軍ごっこ」と言うのは、それほど古い時代から繰り

返されてきた子供の文化だったのです。(一本丸太吊るし木は、坂上田村麻呂の軍勢が持ち込んだ物らしいです)

将軍様(ガキ大将主演)に捕らえられた蝦夷役の子供達は、荒縄で後ろ手に縛られて数珠繋ぎにされ「晒し者」にされる

のです。「将軍ごっこ」の終幕は、捕らえられた子供達が水戸黄門時代劇で悪人が許しを乞うようにして、ゲームは終了

となるのです。そうした中に「悪い事をすると、将軍様が来て遠くへ連れて行かれるぞ!」と言った教訓も含まれた遊び

でした。私が子供の頃にはまだあった遊びでしたが、今は完全消滅してしまった様です。




◎吊るし木を撃つ場合は・・・・・・、

武道具として市販されている高価な木刀は、一撃で折れてしまうほど軟弱です。その代用として、ホームセンターで売ら

れている安価な鶴嘴の柄(樫)使用を推奨します。


                                                                     2008.01.31(木)記



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