平野傳投剣術の打剣軌道とは? [平野傅投剣術に残る、忘れ去られた古の打法] ∴平野傳投剣術の打法最大の特徴は、前傾姿勢40度で剣を発射するところにあります。 放出された剣は動画にある如く、速やかに矢が飛ぶ様な姿勢となって飛行します。 注:動画が再生されない場合は、パソコン画面・左上にある[更新]をクリックして下さい。 ●左手打剣に悪い癖が付いてしまったので、目下のところは矯正中です。 2008.02.25(月) ※As for left hand in the midst of reform Quant a la main gauche au milieu de la reforme Was linke Hand anbetrifft in der Mitte der Verbesserung Как для left hand в midst реформы ◎間合い三間半から両手撃ち (平野傳承剣70匁使用) 注:実戦モードで打剣した場合、余りに剣速が早過ぎる為、ビデオカメラでは撮影が出来ません。 従って、この動画に於いては撮影可能な低速打剣で対処しております。 動画の中では二本の剣を使用して居ります。不明の一本は畳を貫通した後、勢い余って地面に突き 刺さっていました。 七間間合い打剣動画・全画面表示 click hear ◎ 目を凝らして剣の軌道をチェックして下さい! 日下流40匁八角棒手裏剣(150グラム) ↑ ↑ 巷間に残された手裏剣術の書物には、この画像の剣に酷似した手裏剣の図が必ずと言って良いほど載って いるものです。しかし今日に於いて、画像にある剣の様に剣尾を絞ったタイプの剣を正式のものとしている流 派は、当流を除いて他に存在していないと言うのが実情です。他に剣尾を絞った剣が無いではありませんが、 そうしたものは、剣尾に巻き物付きや風切り羽を設けるなど、平野傳のものとはまったく異なった打法を用い る為の造りになっています。打剣時に剣軸がブレルこと無く安定した高速飛行を実現する為に、巻物構造の 剣は絶対的に不利であって、それをスキーの滑空競技に例えるならば、ジャンプ台に異物を置いている様な ものということになります。異物の上にスキーを乗り上げたとしたら、滑走者がバランスを崩すことは明白です。 それと同じことで、打剣動作の過程で剣が掌中を滑走している最中、剣尾の異物突起が指関節の表皮に勢い 良く接触することは避けられません。結局、それに因って剣が激しくバウンドすると言う現象が生じるのです。 確かなことは、剣軸がブレることなく高速で剣を発射するための条件とは、極限の速さで腕を振ることの出来 る打法と、剣尾に異物突起の無い構造の剣であると言う事に尽きるでしょう。 尤も、高速打剣に拘らなければこの限りにあらずと言うことになりますが・・・・・・。 画像にある八角棒手裏剣が有する特性を存分に生かす為には、剣尾まで完全に滑走させることの出来る打 法であるところの、完全滑走打法の習得が絶対不可避となります。直打滑走打法を用いて打剣した場合、手 の振りが速くなればなるほど、剣はより一層前傾した姿勢で的に向かって飛んで行きます。しかし、そうした打 剣技術が身に付くまでには、他の打法の習得と比較して根気と時間が掛かり過ぎるという制約を免れることは 出来ません。多くのスポーツの基本が『確立された正しいフォームの習得』である様に、そうしたことは手裏 剣術といえど例に漏れるものでは無く、愚直に継続される単純動作の日々の中にのみ、手裏剣術上達への真 の近道があるのです。 ☆500年の歴史を生き続ける「平野伝承剣」 平野傳・定寸四十匁剣 (全長210mm 重量150g) 刃先を水平に寝かせて完全滑走打法で打剣すると、刃先は水平角度を維持したままで刺中します。刃先を垂直にして打剣した場合、刃先は その角度を維持した状態で刺中します。ちなみに、刃先を水平にして打剣した事例では、歩測40歩の地表に約50度の角度で刺中しました。 そうした長距離打剣となると、打法の他に、手裏剣には新たな滑空性能という形状要求が不可避となってきます。※一歩は約75cm。 平野傳滑走打法稽古の初期段階に於いては、極めて単純な本撃ち、つまり、上段からの振り下ろしに終始しま すが、次なる段階では切り落ろしから突き込み操作などへの高度なテクニックへとステップアップして行きます。 私が愚考するところ、完全滑走打法というものが世に忘れ去られることになった原因は、流儀の秘伝として秘匿 されて来た以外に、恐らくは、そうした技術習得の困難さと言うころにあったのかも知れません。そして、ここで言 うところの高速打剣とは、実用間合い三間間合い以下での打剣であると言う意味です。 2007.10.27(土) ◎通常の「直打」滑走打法と完全滑走打法の相違点。 ★前傾姿勢約30度で手裏剣を発射! 『通常の滑走打法に於ける剣の軌道』 通常の滑走打法では、抜剣時、剣が図で示した様に直立した姿勢で放出されます。従って、前傾姿勢が 不十分な剣は、眉庇によって跳ね返されることになるのです。剣が直立して放出される打法は、至近距 離に於いてまったく用を成しません。『合戦拵え真剣』を用いることを前提とするならば、三間半間合 いを越えた辺りから、この打法に依存することとなります。 『完全滑走打法(剣の末端まで滑走)に於ける剣の軌道』 この打法を用いて打剣すると、剣は40度以下の前傾姿勢で発射されることとなり、発射された剣は瞬時に水平 姿勢をとって直進します。 (ここで言うところの剣の位置とは、地上からの高さ位置を意味します) 完全滑走打法とは、二指をガイドにして、剣の末端部まで完全に滑走させる打法のことである。完全滑 走打法に於ける腕の振りであるが、バックスィング時の剣の位置から抜剣時の剣の位置まで、それは可 能な限り直線軌道であることが絶対条件である。至近距離と言う条件の中で、最も低い軌道で打剣でき るのは、底掌打法と、この完全滑走打法に限られているといって良いでしょう。但し、尾底(剣尾末端 部)を底掌に密着させて押し出す大構えの底掌打法は、至近距離の使用には動作が大き過ぎて適さない。 歩幅を大きくとって加速しても剣速は時速40km以下であり、あらゆる打法の中で最も低劣威力の打 法なのである。(但し、今日熊本地方に継承されている根岸流オリジナル打法にあっては、底掌で剣を繰 り出しつつ斬りの操作を加える手法になっているので、根岸流古傳の打法ならば剣速は相当早いです) 追記:後日、根岸流プライベート稽古ビデオを送って頂きました。いまさら申すまでも無く、根岸流手裏 剣術は傳統と知名度で不動の流派です。絞った剣尾に巻物付きが根岸流手裏剣のメインとなって居 りますが、術理の出発点が上遠野流撃ち針術と言うことだけあって、絞りの無い細身手裏剣を打つ 業がちゃんと残っておりました。あくまでもプライベート資料として送って頂きましたので、この 件に関しましては一切公開出来ません。 さて、八分の一倍速に編集して観察した結果は・・・・・・、 打法は完全滑走打法、発射された剣は速やかに前傾して水平軌道となり、そのまま浮き上がるよう にして畳へ突き刺さっていました。矢延びのする、終速の落ちない打法でありました。正座撃ちの 場でありましたが、70グラム級の剣で五間間合い位は打てそうな勢いがありました。 HOMEへもどる 目次のページへもどる 更新のページへもどる
◎通常の「直打」滑走打法と完全滑走打法の相違点。 ★前傾姿勢約30度で手裏剣を発射! 『通常の滑走打法に於ける剣の軌道』
通常の滑走打法では、抜剣時、剣が図で示した様に直立した姿勢で放出されます。従って、前傾姿勢が 不十分な剣は、眉庇によって跳ね返されることになるのです。剣が直立して放出される打法は、至近距 離に於いてまったく用を成しません。『合戦拵え真剣』を用いることを前提とするならば、三間半間合 いを越えた辺りから、この打法に依存することとなります。
『完全滑走打法(剣の末端まで滑走)に於ける剣の軌道』
完全滑走打法とは、二指をガイドにして、剣の末端部まで完全に滑走させる打法のことである。完全滑 走打法に於ける腕の振りであるが、バックスィング時の剣の位置から抜剣時の剣の位置まで、それは可 能な限り直線軌道であることが絶対条件である。至近距離と言う条件の中で、最も低い軌道で打剣でき るのは、底掌打法と、この完全滑走打法に限られているといって良いでしょう。但し、尾底(剣尾末端 部)を底掌に密着させて押し出す大構えの底掌打法は、至近距離の使用には動作が大き過ぎて適さない。 歩幅を大きくとって加速しても剣速は時速40km以下であり、あらゆる打法の中で最も低劣威力の打 法なのである。(但し、今日熊本地方に継承されている根岸流オリジナル打法にあっては、底掌で剣を繰 り出しつつ斬りの操作を加える手法になっているので、根岸流古傳の打法ならば剣速は相当早いです) 追記:後日、根岸流プライベート稽古ビデオを送って頂きました。いまさら申すまでも無く、根岸流手裏 剣術は傳統と知名度で不動の流派です。絞った剣尾に巻物付きが根岸流手裏剣のメインとなって居 りますが、術理の出発点が上遠野流撃ち針術と言うことだけあって、絞りの無い細身手裏剣を打つ 業がちゃんと残っておりました。あくまでもプライベート資料として送って頂きましたので、この 件に関しましては一切公開出来ません。 さて、八分の一倍速に編集して観察した結果は・・・・・・、 打法は完全滑走打法、発射された剣は速やかに前傾して水平軌道となり、そのまま浮き上がるよう にして畳へ突き刺さっていました。矢延びのする、終速の落ちない打法でありました。正座撃ちの 場でありましたが、70グラム級の剣で五間間合い位は打てそうな勢いがありました。 HOMEへもどる 目次のページへもどる 更新のページへもどる