形正シカラザレバ剣マタ正シカラズ、弓矢の軌道で手裏剣を発射する為の形造り。


安全性と耐久力に優れた標的の工夫。





 現代の手裏剣術修行者を悩ます最大の障害、それは言うまでも無く、打剣するに充分な空

間を得ることの困難さに尽きるでしょう。 手裏剣術を学びたいと思っている潜在人口は多い

のですが、やはり、稽古場の問題がネックになって断念するようです。・・・・・自宅を稽古場に

した人達の話を聞くと、打剣時の騒音が元で、離婚話しにまで発展した例もあるそうです。



       写真は、投剣術の熱心な支援者F氏の工夫です。

       



 この的が試作されたのは2006年5月中旬のことでした。それから凡そ三ヶ月間テストして来

ましたが、その結果、剣の跳ね返りによる受傷事故の劇的改善および打撃音の著しい低減、

そして、油粘土使用による形状復元性に基づく耐久力に抜きん出た的であると認めました。

なお粘土の厚さは10cm以上が好いです。油粘土の上にダンボールを密着させ粘着テープ

で固定します。剣の跳ね返りは1mを超えることはありません。

バスマットは正座打剣二間間合いでも跳ね返りの危険があります
そして超重量剣使用の場

合、ダンボール二枚重ねが最も適切であるという結論です。       (2006.08.29.02:15記)



油粘土標的の基本的構成。

 分厚い底板のある木枠を作り、その中へ油粘土を敷き詰めます。油粘土の表面は木槌で叩

いて締め固めるといいでしょう。軽量剣ならばそのままの状態で使用できます。重量剣を使用

する方の場合でしたら、ダンボールを貼り付けて打剣することを推奨します。油粘土の緩衝性

によって、衝撃音や剣の跳ね返りが、飛躍的に低減された優れものです。打剣の繰り返しで粘

土の表面がボロボロに荒れても、木槌で叩いてやれば、誰にでも簡単に修復が可能です。

(油粘土の油成分が手に付着しても、打剣に影響は少ないようです。欠点は、夏場の気温上昇によって粘土が軟

化し、その自重で下方へ圧縮変形すること、そして臭いがすることです)




  写真の的は,60cm×60cm、重量は、およそ20kgほどになります。小学校の教材に使

用されている油粘土ですが約90個使用しています。価格は10000円弱です。もし予算面で

許されるなら、粘土の厚さをこの倍以上のものにすることによって、より理想的な使用感にな

るものと思います。




F氏考案の可動式標的写真です。

(F氏も真剣の使用に拘る方で、負傷体験者です。空手・剣道・合気道の心得あり)

 
この標的を使用して打剣した場合、剣が的に当った時の衝撃音は、これまで使用した

どの的よりも静かなものでした。これによって家庭内騒音は、かなり軽減されるものと思い

ます
なんといっても受傷事故の危険の無いことが一番有り難いです。二番目のメリット

は、近隣騒音を出さないところにあります。そして、稽古の時に
油粘土の油性分が手指等

へ付着しても、打剣動作にそれほどの影響は無いと言うことです。


この的が飛躍的に優れているところは、剣が横向きにぶち当たっても
跳ね返りが極端に


少ないという点にあります。
このことは手裏剣術初心者にとって、剣の跳ね返りによる人身

被害からの危険回避として、最大の福音になるものと確信するに至りました。
油粘土もサイ

ト検索すれば、かなり安く購入
出来そうです。F氏が考案したこの油粘土の的は、今や目

立たぬところで
それも確かな形となって受け入れられ始めているようです。


  

衝撃吸収性に優れた粘土ですから、剣が横向きに当った場合の跳ね返り距離は、最大でも1メートル

位なものです。




 
標的面が穴だらけになっても、修復は何度でも出来ます。穴だらけになった粘土の表面は、当て

板をしてハンマーで叩き平らにします。




油粘土標的打剣テスト動画、その2


                 2007.05.08(火)





 これまで使用した標的の中で、衝撃音が最も低かったものは、弓道に使用する巻き藁の標的でし

た。巻き藁は音が小さいのですが、剣先に掛った藁が
微小な粉粒体と化して屋内に拡散するとい

う悪弊があるのです
家具や調度品の表面に埃となって堆積したりすれば、家人の怒りをかう原因

となったりしますから要注意
新聞雑誌を束ねて使用してもまた同様のことが起こりますから、くれ

ぐれも要注意です。


油粘土の私的全体評価

 F氏の創意工夫によって発明された油粘土の的は、実用化されてより、この五月で一年

になります。そうした実用テストを経た結果、この油粘土の耐用年数はどれほどのものなの

か想像も付きません。油粘土は無限に復元出来る塑性があるので、油粘土が劣化するま

では、交換する必要が無いという結論になる訳です。

『この的の耐用年数は、ほぼ半永久的である』
と断定する方も居りますが、私自身、そう言っ

たことを疑問視する理由を見い出すことが出来ないで居ります。確かに、そうした長期的視野に立っ

て油粘土標的の経済性を思考すると、この点でも明らかに優れていると思わざるを得ないのです。



※油粘土の使用に関して唯一の欠点、それは、油粘土特有の臭いでしょうか?



                                           2007.05.03()再編集






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